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【料理人と暴力】料理長が勘違いしてはいけない3つのポイント

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料理人と暴力

悲しい事実ですが、日本料理の一部の職場では日常的に大声で怒鳴ったり、殴ったりするような人がいます。
数年前にはとある東京の有名な料理店の主人が、従業員の見習いの人に暴行して睾丸を破裂させたという事件がヤフーのトップになったりしました。

ここまでの事件は流石に自分の周りにはありませんが、実際に僕が働いていた店でも殴る料理長がいました。その職場は、よく言えば緊張感があり、良い料理を出していたと思うのですが、基本的にいつもピリピリしていて働いている人も長続きしません。
新人が入ってはすぐに辞め、ある程度の年数の人もみんなチャンスを伺い、キッカケさえあれば辞めて、という状況だったので、人手不足が常態化していました。
客室と調理場が完全に別になっていたため苦情などは無かったのですが、お客様が調理場の光景を見ていたらおかしいと思われたのでないかと思います。

「多少の暴力が当たり前」なわけがない

日本料理・和食の板前の世界、なんていうと「厳しい」「辛い」というイメージがありますが、その中には「多少の暴力は当たり前」というニュアンスが含まれているのではないでしょうか。

中には、若手時代のそういう経験を武勇伝みたいに自慢気に語るアホなオッサンもいて、このままアホを野放しにしておくと日本料理自体がが衰退していくのでは無いかと強く危惧しています。

部下に対して暴力などをする人は日本料理のイメージを大きく毀損する原因になるので、さっさと辞めて違う仕事をして欲しいというのが本音ではありますが、感情的に思いを書き殴るだけでは無くて、少し考察したいと思います。

料理長が勘違いしてはいけない3つのポイント

1.気を使うポイントが増えるとミスが増える

正確なデータとか心理学とかを勉強したわけではなく実際に経験した体感からの推測なのですが、働いている従業員がお客様よりも上司を気にしなければいけない職場では普通の職場よりもミスが多くなるのでは無いかと思います。

1つの点に注意しなければいけない場合と、2つの点に注意しなければいけない場合では、後者のほうが集中が分散され、同じ仕事でもミスが増えるのは当たり前で無いでしょうか。

マンガの「カイジ」でも、幅15センチの平均台は誰でも渡れるが、それが高層ビルの屋上に掛かった幅15センチの橋で、落下したら即死という状況なら渡れなくなるという話がありました。

必要以上のプレッシャーというのはミスが増える原因になります。

2.自分以外は仕事が出来なくて当たり前

別に名誉を守る必要も無いのですが、僕が働いていた店のバカの暴力料理長は、仕事以外の部分ではいい人でした。
そして、個人としてはかなり優秀な方でした。
それ故に、なんで俺と同じように出来ないんだというのがストレスになっていたのでは無いかと思います。

しかし、部下が上司と同じレベルで仕事が出来ないのは当たり前です。極端に言えば、同じレベルで仕事が出来れば料理長のポジションにいるはずです。

個々の能力に応じて仕事を割り振り、現場を指揮して、日常的に指導してレベルを上げて、最大限の戦果を上げるのが料理長の仕事では無いでしょうか。

3.怒るなら出来るだけ二人のときに

また、人前で大声で怒鳴ったりというのも問題外です。誰だって人前で大声で怒られれば、個人差はあるかもしれませんが、恥ずかしい気持ちになったり、人格を否定された気になります。それに周りで聞いている人も萎縮してしまいます。

あえて大声で叱り、後でフォローするというのなら理解出来ますが、大半は怒りで感情的になっているだけでは無いでしょうか。

こういう職場では言いたい事も言えずに、部下から建設的な提案が上がってくることは、まずあり得ないでしょう。

部下がミスを起こせば隠蔽し、バレたら「なぜ隠してたんだ!!」とまた大声を出すのが、こういう上司のお決まりのパターンですが、自分の態度が原因になっているとは全く考えに無いのでしょう。

人間は誰だってミスをするものです。ましてや料理のような技術の必要な仕事であれば尚更です。
怒るなら出来るだけ周りに人がいない場所で個人的に話をするべきです。

「料理を作る能力」と「部下の管理」は別の能力が必要と自覚すること

日本料理の調理の世界では、部下を管理する能力に問題があっても、料理の技術があれば評価されやすい傾向にあるのではないでしょうか。

普通の企業では当然のことですが、料理の世界ではプレイヤーとしての資質とマネージャーの資質は全く別のものであるという認識がまだまだ浸透していないので無いでしょうか。マネージャーの能力の乏しい人が評価され上に立ってしまうと、部下は疲弊し、組織の崩壊に近づいていきます。

優秀な技術のある人が人の上に立つことは自然なことではあります。しかし、料理の技術と部下を率いるのは全く別の能力が必要であることを自覚して、前者の能力だけでなく後者の能力を伸ばすことも修行の一つであると考えていかなければ、本当に業界自体が終わってしまうのでは無いかと思います。

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