ガストロノミー.work

日本料理の次世代への継承と、更なる発展。日本料理を未来に繋ぐ。

「煮物椀」について その2【椀種についての考察】

スポンサーリンク

椀種について考える


前回は吸い地についての記事を書いています。
まだご覧になってない方はそちらも合わせてお願いします。

今回は椀種について考えて行こうと思います。
「煮物椀とは具をメインにした吸い物」であるという風に思われている方もいるかもしれません。確かに、普通の吸い物よりも大きな具を使うの事が多いです。しかし、少し違和感があります。
やはり、煮物椀は何よりも出汁の美味しさを味わうものでないかと思います。
100店の日本料理店があれば100通りの味があるのがお椀の吸い地でないかと思います。それぐらい皆がこだわりを持って仕事をしているものです。

よって、椀種出汁の持ち味を活かすものが良いということになります。
椀種には魚ならば、昔からタイアブラメハモ等の白身が使われる事が多いです。
新鮮な白身の魚は淡白で生臭みが少なく、澄まし仕立ての出汁との相性が良いでしょう。
やはり、昔からある仕事というのは、理論的にも素晴らしいものが多いです。

椀種によく使うもの

真薯(しんじょ)

白身の魚をそのまま使うのではなく、魚をすり身にして、真薯にしたものも多用されます。これは椀種が大きすぎると、お椀を傾けたときに飲みにくくなってしまうので、素材の大きさを調整して、適切なサイズにするという工夫の一つです。
いくら真薯にすると言ってもカマボコのように硬いと出汁との相性は悪くなってしまいます。出汁の中で、箸ですっと割れるぐらいの硬さにする事が大事なポイントです。
出来るだけ出汁の食感に近づけるのが椀種のテーマになります。

葛たたき

白身の魚を使うときは、表面に葛を打って湯で火入れする「葛たたき」という手法が一般的です。「葛たたき」と言っても、葛じゃなくて片栗粉で代用する店がほとんどだと思います。
この「葛たたき」をすると、ツルッとした滑らかな食感が生まれます。また、単に湯で火入れしただけよりも、素材の味を封じ込めることが出来ます。素材の旨味を閉じ込めると共に、出汁に素材の味が移るのを防ぐ、非常に理に適った調理方法です。

肉類・青魚・川魚

肉類や青魚・川魚なんかはクセが強く、椀種として使う店は少ないかもしれません。しかし、サバを使った船場汁や、豚肉を使った沢煮椀など、郷土料理などでは汁物によく使われる素材であり、研究してみるのも面白いと思います。
やはりポイントは、いかにクセを消して旨味を引き出すか、食感を出汁に近づけるということでないでしょうか。
挽き肉にして団子にして、味噌仕立てなんかだと合いそうです。

野菜類

野菜がメインのお椀もなかなか難しいですね。
ある程度の値段のお店だと、ちょっと迫力に欠けてしまうからでしょうか。魚や肉類の動物性のタンパク質や脂分が無いので、何かひと工夫しなければなりません。
野菜類をメインとして椀種に使うときは、煮含めたり炒めたりして油分をプラスさせたり、そういうことが考えられるでしょう。


今回は煮物椀の2回目ということで、椀種について考えてみました。
次回の「その3」では「吸い口」と「あしらい」について考えていきたいと思います。

季節の椀もの入門:伝統のひと椀から新作オリジナルまで80品

季節の椀もの入門:伝統のひと椀から新作オリジナルまで80品