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【調理の技法 第2回】 「蒸す」その1

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私の知る範囲だけの話かもしれませんが、献立の中に「蒸し物」を常に入れているという店は少ないように思います。献立を立ててみて、何か少し物足りないと感じたら「蒸し物」を一品入れてみたり、秋口の松茸の季節になると椀物の代わりに土瓶蒸しを入れてみたり、冬場は焚き合わせの代わりに蕪蒸しをしてみたり、レギュラー選手じゃないけど、いざという時に頼りになる代打の切り札のような存在でないでしょうか。

蒸すという調理方法は料理の中でも比較的簡単なほうでは無いかと思います。それは蒸気という熱に均一に包まれるからです。均一な熱量で加熱されるということは、蒸し器の内部の温度時間の管理に気をつけてさえいればよいということです。これが炭火の直焼きなんかになると、慣れるまでは均一な温度の管理だけで大変です。さらに、蒸すという調理は管理する温度帯も、80℃〜90℃前後と低めの温度であることも、比較的簡単である要因と言えるかもしれません。揚げるであると180°C前後。焼くだと場合によっては何百℃といった高温になります。

「蒸す」ことで味は付きません。「炊く(焚く)」場合だと加熱と味付けを同時進行で行う調理であるので非常に難しいのですが、「蒸す」は純粋に加熱するだけの調理の技法になります。気をつけて頂きたいのは、蒸すというのは加熱するだけですので、調理中の味付けは一切出来ません。アクを取ることも出来ません。蒸す段階に入るときには、その時点で加熱以外の調理を終えておかなければなりません。

先ほども書きましたが、蒸すというのは比較的低温で調理します。つまり、素材の細胞組織の破壊が少ないのです。つまり、「素材の味が逃げにくい」「焦げない」「パサつかない」「型くずれしない」のです。栄養価の流出も少なくて済みます。素材の滋味を引き出すような、非常に日本料理らしい調理法だと思います。

その2に続きます。

「蒸す」って、おいしい。 キッチンはいいにおい!

「蒸す」って、おいしい。 キッチンはいいにおい!